デザイナー小太刀御禄の頭の中

こがにゃんこがご当地キャラとして地元に根ざした地域デザインにこだわった理由

※note「猫の手も借りてる地域デザインのメモ帳」から記事を移動しました。
先日、歴人マガジンさんがこがにゃんこの活動を地域活性化、地域デザインの視点でコラムを書いてくださいました。

【コラム】茨城県古河市の「非公認」ご当地キャラ 「こがにゃんこ」に見る地方活性化のヒント
http://rekijin.com/?p=11706

現在のご当地キャラといえば着ぐるみでのイベント活動をイメージされることが多く、こがにゃんこも初期の頃から着ぐるみとイベント出演についてのカジュアルな質問を受けていました。
一周年の時に着ぐるみを作ると宣言したものの、金銭にしても管理にしても運用体制にしても考えることと調整ごとが多く誕生から1年半たった今でもきぐるみ化は実現しておらず、現在も調整ごとをしております。
そして先日、「こがにゃんこはもっと遠方に出るべき」的なご意見をtwitterで見かけて感慨にふけっておりました。だって誕生直後じゃこんなこと言われなかったもの!

では、きぐるみ制作発表から半年間いわゆるご当地キャラらしい活動をせずに何をしていたかといえば「ホームタウン・古河の地域デザイン活動」への注力です。
まず、前提条件を書かせてください。私は他のキャラクターの運営方法やナレッジは否定しません。
こういう「キャラクターデザインや運営、地域活性化の話」を書くと他のキャラクターのやり方の否定ととる方がいるので躊躇しておりました。
今回書くのはあくまでデザイナー・小太刀御禄の考え方です。

こがにゃんこのミッションは「古河のファンをふやす」こと

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「古河のファン」と聞いて何を思い浮かべますか?古河市外のファンを思い浮かべるでしょうか??
「古河のファン」というのは古河市民の郷土愛と古河市外の「古河ファン」という二つの意味があります。
2つの意味があるのは、古河という町の状況が関連しています。
古河市は東京から1時間のベットタウンというのもあり、とても移住者が多い地域です。かくいう私も移住者です。
移住者かつい東京に生活の基盤があるような「茨城都民」と言われる人は、地元への郷土愛を持つ人が少ないように感じます。実感値ですが。
そして古河は明治維新の廃藩置県後、ほとんどの武家が古河を離れてしまいました。その影響で武家的な文化が薄れたという話を聞いたことがあります。
他にも色々な理由はあるとは思いますが、複数の理由が密接に絡み合って歴史文化が深いわりには郷土愛が薄いような気がしていたのです。
私はまず、古河市民が古河に興味を持ってもらいたいと考えました。それは可愛いキャラクターのルックスからでも。
そして何気なく目にしていたキャラクターが歴史ものだと気づいてくれた時に、少しでも歴史への関心を高めて欲しかった。

歴史は難しいと言われることが多いけども、それは一次資料を触るような勉学の世界で私自身はもっと普通の人が何気なく地元の歴史や自分の家の歴史を語れるようになったら素敵だと思ってる。
それが郷土愛に繋がって、極論をいえば地域が活性化すると思っているから。
こがにゃんこは商用利用のフリー化を一旦全て取りやめてしまいましたが、それでも教育分野においては相談前提で商用フリーを貫いています。
それは挿絵やキャラクターは資料をわかりやすく、そして印象的にできるデザインツールの一つだと思うから。
そして、子供達があんどんやお手紙にこがにゃんこを書いているのを見てこの施策は効果があったと実感しております。
歴史ものじゃないと思っているかもしれないけど、今子供達は確実に歴史に何気なく触れてくれているのです。

もちろん、教育分野においては私だけではできません。
古河市の郷土史家グループである古河史楽会の古河の小学校での出前授業での挿絵としての使用や、歴史イベントでの挿絵や装飾での使用あってこそ。
古河史楽会さんのご縁で、古河市教育研修会にて「教育現場におけるご当地キャラの活用」というテーマで講演をさせていただきました。
デザイナー視点でデザインの活用を発信する機会に恵まれるというのは喜ばしいことであり、デザイナーとして有効的な活用方法が提案できる場にはできる限り出て行きました。

ご当地キャラも元をただせばデザインである

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こちらは企画者は地元古河の福祉ライターさん。ライターといえど全国津々浦々の福祉施設と製品を見てきた凄腕ライター。
私はキャラクターとデザインの提供、そしてちょっとしたアートディレクション。製品における世界観の部分を担当しています。
今、福祉の世界は製造のみ行っていたところが、どんどん自社ブランドを作って製造販売している転換期だそうです。
そこでこがにゃんこに白羽の矢が立ちました。
ご当地キャラと福祉が手を組まないか、ということです。

こがにゃんこのデザインはもともと様々なデザイン物にのせられるようにと極力シンプル化しています。厳密にいえば、しゃむ位はにゃん石よりも難しいデザインをしていますが…
デザイン的には福祉施設で製品化するのは問題ないだろうと考えました。こうして誕生したのがにゃん石としゃむ位をかたどったこがにゃんこクッキーと焼印がされたパンだったのです。
製品は作るだけではなく、販売もおこなわなければなりません。
企画者のライターさんと担当さんは色々なところへ売り込んでくれるだけではなく、さらに地元イベントへの参加を強めてくれました。福祉が地元のイベントと繋がっていく瞬間です。

今までみなさんは福祉施設の製品をどのように思っていたでしょうか?
なかなか手にとる機会がなかったり、語弊を恐れずにいえばボランティア精神だと思って購入していた方もいると思います。
しかしデザインがのったこがにゃんこクッキー&パンはいち製品としてファンの民の手にわたり、お土産物としても売れています。
言葉にしてしまえば、こがにゃんこクッキー&パンは福祉施設の賃金向上を目指しています。
プロダクトとして評価をされて販売されて、賃金をあげる経済活動が目標であり解決したい課題なのです。

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もう一つ忘れてはいけないのはこがにゃんこクッキーについている木製タグ。これは古河市ではなく愛知県の木工製品が得意な福祉施設で制作を担当してくれています。
企画のライターさんから「古河外に発注してもいいか」と打診された時に二つ返事でOKしました。
地域活性化というと、1つの地域で仕事を回し合うことが多いです。これは良いことだと思いますが、こがにゃんこのテーマは歴史。歴史は点ではなく線であり、それが束になって帯になる。
一つの地域で完結しないのが歴史なのです。
歴史をテーマにするなら、他の地域と積極的に絡んでいきたいと二つ返事でOKしました。

しゃむ位のモデル土井利位もにゃん石のモデルの鷹見泉石も元をたどると愛知は三河武士の出。
そのつながりが現代にも生きてくるというのは素晴らしいことですし、愛知のみなさまと時を超えて土井と鷹見に触れられるというのは最高なこと。
これは考えてもみなかったのですが、福祉業界の方からすると1つの製品に対して複数の福祉施設が絡んでいるというのは素晴らしいことだそうです。
私は歴史というテーマの側面から二つ返事でOKしましたが、福祉業界の方が福祉の視点からも評価してくださったのはとても嬉しかったです。

地元の企業や商店とコラボをして郷土愛を深めるきっかけに

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こがにゃんこクッキーのすごいところは、素材として商店とのコラボを行ったこと。
歴人マガジンさんが書いてくれたように、古民家カフェのサンローゼとコラボしてこがにゃんこラテそしてこがにゃんこパフェが誕生しました。
こがにゃんこラテにはクッキーが2枚ついてきて、こがにゃんこパフェにはクッキーが乗っかっています。
そして特別メニュー提供期間中はサンローゼにてこがにゃんこクッキーを購入することができます。
食は人間ときってもきれないもの。その食とこがにゃんこがコラボし、そこに福祉製品が入り地元にアピールするというのは私が目指した「何気ないところにある歴史コンテンツ」の姿でもあります。

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こがにゃんこはその他に西口商店街振興組合の歳末セール記念品&ポスターにもなりました。
一部の民は商店街中を探し回ってくださり、ネットでもちょっと話題になってました。嬉しい限りです。
西口商店街振興組合に所属する中には江戸時代創業の商店もあり、いわば城下町の延長線。
その歴史の延長線にこがにゃんこのファンの民がなにげなく足を運んでくれるというのは本当に本当にすごいことなのです。
普段商店街にくる層と違う層が商店街にきてくれるという状況、そして商店街が抱えるお客様へのこがにゃんこの発信、そしてその舞台がかつての城下町であること。
こがにゃんこの認知度向上とともに、コンテンツーリズムの可能性を感じる結果となりました。

かねてよりこがにゃんこはSNSを通じてこがにゃんこに関連する史跡の情報発信をしており、民の中にはこがにゃんこの情報発信をきっかけに足を運んでくださる方がおりました。
この民の動きから、私はこがにゃんこを通じたコンテンツツーリズムが行えると実感しておりじわじわと準備を進めているところであります。

そして古河駅の駅ビルの古河駅VALはかねてよりこがにゃんこを応援してくださり、こがにゃんこクッキーの特別ブース設置にはじまり、リーフレットへの掲載、求人掲示板用のポスターなどにこがにゃんこを使用してくださっています。古河市民の駅ビル利用率は高く、さらに駅ビルで見かけるキャラクターということで「古河市非公認なのに漂うオフィシャル!!!」を持っていただけるようになりました。
何より歴史ファンとは違うユーザー層の主婦層からかわいいと言っていただけるのはとても励みになります。
駅ビルVALさん、古河西口商店街振興組合さんの取り組みはこがにゃんこの市民認知の底上げとファンへの発信をしていただいております。

私は問題解決のためのデザインを提案したい

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こがにゃんこは出始めこそはtwitterのプチバズでした。でもこがにゃんこを作った時はいろんなところに活用していただけるようにデザインを行って今に至ります。
全国的に見ればまだまだ小さな渦かもしれません。ですが着実に地元の協力を得ながらこがにゃんこの渦は大きくなってきました。
そしてその渦は古河が抱える問題に寄り添い、少しずつ解決を促しています。
そう、こがにゃんこは古河の問題解決を行うためにまずは古河市にて重点的に施策を行っていたのです。そして古河で開催されるこがにゃんこ関係のイベントはSNSを通じて古河外へ発信をしました。
こがにゃんこが古河以外の地域にリアルとして飛び出さなかったのはこういった理由があります。
(厳密にはコミケなどに出展しているのですが、古河市外の民への販売と交流が目的です。直接の意見やファンの反応を間近で見れるのはすごく勉強になります!)
もちろん、こがにゃんこは実体を手に入れたら色々なところに行きたいと考えています。
こがにゃんこがリアル世界に出て他の地域に出る時、リアル活動でしかできないことを通じて古河のファンを増やすために頑張る所存でございます。

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