先日、2016年度の魅力度ランキンが発表され、我らが茨城県は4年連続ワースト1位という大変美味しい位置を独走となりました。
これもひとえに茨城を愛し、そして特別視しない、「あなたの近くの茨城県」のような親しみやすさの表れだと思っております。
茨城の人と会話すると「茨城は何もないから」という方が多いです。
何もない。何もないってなんなんだろう。
よくよく聞いてみると何もない、というのは「日本中の誰もが知ってるようなコンテンツがない」ということを意味していました。
そもそも日本中が知ってるようなコンテンツというのは、近年ネットから火がついた「うさぎの島」で知られる広島県の大久野島のようなバズりタイプ以外は、長いこと、それはそれは長いこと愛された観光地です。
三重県の伊勢神宮のお伊勢参りは遡ること江戸時代。日本内の移動が厳しかった時代に、伊勢神宮への参拝なら制限を解除するよというルールから起こった「お伊勢参りブーム」がきっかけです。
伊勢だけではありません。京都だって、広島の宮島だって、奈良の大仏だって人気の観光地は数十年、数百年、京都なら1000年と築かれた知名度とブランディング、そして歴史、どこにも負けない独自のコンテンツ力があります。
では、数百年前から全国規模で愛されたコンテンツがなければ、人は呼べないのでしょうか?
茨城は詰んでるのでしょうか?
何もない土地からコンテンツツーリズムを生み出す
そもそも、何もない土地なんてないと思ってます。
歴史、自然、食べ物、文化…人を呼ぶテーマはいくつだって考えられます。たまたま未発見のまま、あるいは発見されていても磨いた上で地域外へ発信していないから「何もない」という状況なのです。多分。
私は茨城県古河市の非公認ご当地キャラ こがにゃんこを運営しています。
こがにゃんこは勢いで作ったとはいえ、地元の子供たちが自分の地域に愛着が持てるようにと教育への活用や、観光関係への活用を考えてデザインしました。
にゃん石の魂の人である蘭学者・鷹見泉石は晩年を過ごした鷹見泉石記念館があり、古河一番の見所です。(みろく的に)
泉石が仕えた土井利位は日本で初めて雪の結晶を調べた人物で、彼が発表した雪華図説は雪華模様になり着物の柄としてブームを起こします。
そんな泉石と利位は大塩平八郎の乱の鎮圧など、文化面以外でも活躍をしていて、とてもストーリーがたくさんある人物。
古河藩の殿であり、観光資源もあり、ストーリーもある。
ここまで説明したら、古河にきたくなるでしょう!さぁ、古河にきてくれ。
なんて言っても説明だけでは「ふーん」で終わってしまうのもわかります。だからご当地をテーマにしたコンテンツを作り、コンテンツを発信するのです。
ご当地キャラからはじめるセルフコンテンツツーリズム
コンテンツツーリズムとはコンテンツの舞台である土地を訪れる観光行動の総称です。
コンテンツは映画でもアニメでも、はたまた歴史でもかまいません。
アニメにおけるコンテンツツーリズムは聖地巡礼なんて呼び方もします。
冒頭で出たお伊勢参りもいわばコンテンツツーリズムの1つです。
コンテンツツーリズムはアニメや映画のロケ地にならなければ、歴史だったらゲームやアニメに取り上げられなければ観光地への来場者を見込むことはできません。
それなら、コンテンツツーリズムを前提としたコンテンツを自ら作ってしまえばいいのではないでしょうか?
こがにゃんこはキャラクターのビジュアルデザインだけではなく、ストーリーがあり、それはすべて古河を中心としたこがにゃんこに関係のある土地にしています。
2016年6月に公開したこがにゃんこの「古河のいいとこマーチ」はすべて古河の歴史や景色に合わせてあります。
他にも公開するイラストには歴史や古河の景色を入れこむことで、できる限りストーリーやキャラクターの背景がわかるように設計しました。
すべてはコンテンツツーリズムにつなげるためです。
こがにゃんこスタンプラリーで見たコンテンツツーリズムへの足がかり
JR東日本大宮支社、VAL古河駅ビル主催、共催に古河商工会議所 古河あきんどの会とこがにゃんこ。
そして古河市、古河市観光協会、古河史楽会が協力についてくださる形で「駅からはじまる!こがにゃんこと歴史散歩」とい銘打ったスタンプラリーを開催しました。
今回のスタンプラリーのテーマは「こがにゃんこと古河城」
こがにゃんこの歌である「古河のいいとこマーチ」に出てきた土地をはじめ、こがにゃんこゆかりの土地をこがにゃんこ視点でマップに詰め込みました。


こがにゃんこの民(ファン)に向けたマップを制作し、コンテンツと土地を連携することでコンテンツツーリズムの流れを作ったのです。
イベント期間中には多くの若い女性や子供連れの家族が、古河の街を楽しんでくれました。
そしてキャラクターを通じて、古河の街に愛着を持ってくれたのです。
何もない街こそ、新しいコンテンツツーリズムの流れを作るチャンスがあります。
他の土地と違う何かを発見することができるかもしれません。
何もない土地なんてないんだ。